
ここ数年、年賀状を出す人が大きく減っています。総務省のデータでも、ピーク時と比べて発行枚数は半分以下。郵便局の窓口でも「今年はもう出さないんですよ」という声を聞くようになりました。
「もう紙の時代じゃないのでは?」
「郵便文化は終わりなの?」
そんな空気すら漂っていますね。私の様な、しがない個人事業主の元にも毎年郵便局員さんが「年賀状を購入していただけませんか?」と訪問されていましたが、現在はそんな気配すらありません(笑)
しかし、本当に年賀状をはじめとした紙の役割は薄れていく一方なのでしょうか。
印刷の仕事に携わる私たちから見ると、実際はもっと“複雑な現実”があると思っています。
この記事では、
・年賀状離れはなぜ起きたのか
・それによって、紙・はがきの需要はどう変わったか
・印刷は衰退ではなく“変化の途中”であること
・デジタル時代にこそ紙を活かす方法
をまとめ、これからの印刷と紙の価値について考えてみたいと思います。ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
■ 年賀状離れは「文化がなくなった」わけではない

年賀状離れの大きな理由は、デジタルコミュニケーションの発達にあります。
・LINEで手軽に送れる
・SNSで近況を共有できる
・写真もメッセージもスマホで完結
・若い世代ほど「年賀状文化」を知らない
特に20〜30代を中心に「送りたいけれど、住所がわからない」「準備が面倒」という声が多く、紙文化より“効率”が優先されるようになりました。確かにLINEは知っているけど電話番号を知らない、から推測しても住所なんて全く知らない場合あります(笑)
しかし、だからといって
「年賀の挨拶文化そのものが消えた」
わけではありません。
むしろ挨拶自体は生き続けていて、手段が“紙からデジタルに移動した”だけなのです。この「移動」という視点が、印刷業界にとってはとても大切だと思っています。
■ 紙の需要は確かに減った。しかし「ゼロ」ではない
はがき需要は年々減少しています。
特に年賀状は、紙需要における大きな柱だったため、印刷業界にも影響はあります。
ただし、紙全体が減っているかというと、実はそう単純ではありません。
● 減っている紙
DMの大量印刷
カタログ・冊子の大量ロット
年賀状・暑中見舞い
企業の申込書類などの事務系印刷
● 増えている紙
小ロット・高品質の印刷物
パーソナライズされたDM
店舗用POPやチラシ
特殊紙を使ったギフト系印刷
ZINEや小冊子など“個人の創作物”
クリエイターの作品集・名刺
パッケージ・ラベル系

特に“手触りの良い紙”や“デザイン性の高い印刷”はむしろ需要が増えています。個人でネット印刷も手軽にできることから、印刷会社→個人需要が増加しているわけです。
大量印刷の時代が終わり、「価値の高い紙」へとシフトしていると言えるかもしれません。
■ デジタルが進むほど「紙の価値」は上がる
ここ10年で、印刷の役割は大きく変わりました。
以前は紙が情報伝達の主役でしたが、今はデジタルがその役割を担います。
では紙は不要になるかというと……実は逆です(個人的な主観含む笑)
★ デジタルの時代ほど、紙は“特別で記憶に残りやすい”
スマホで見る情報は便利ですが、同時に“流れて消えていく”という弱点があります。
一方で紙は、手に取ったときの質感や重みがあり、記憶に残る力がとても強い。これはすごく感じています。
心理学の研究でも、
物理的な手触りがある媒体は記憶に定着しやすい
デジタルより紙のほうが「丁寧に扱われた」と感じやすい
といったデータが出ています。私は自社で「プレジデント舞鶴」という情報誌を毎月発刊していますが、わざと用紙を厚く設定しています。そのことにより重量が増え捨てづらくなるからです(笑)
つまり、デジタルが主流になった今こそ
紙は“特別感”という価値をもって再評価されている
のです。
■ 印刷は「衰退」ではなく“最適化”へ向かっている
印刷会社はここ数年で大きな変化を迫られています。
・大量ロットから小ロットへ
・同じデザインを大量に刷る時代から、1枚ごとに違う内容を印刷する時代へ
・単純な印刷から、デザイン・企画・マーケティングが求められる時代へ
この変化を支えているのが、オンデマンド印刷やデジタル印刷です。
以前は不可能だった「1枚ずつ違う内容」「極小ロット」などが可能になり、むしろ小規模事業者にとって印刷が身近になりました。このこと自体は業界的にも良きことと思っています。
■ デジタルと紙は敵ではなく、むしろ“相互補完”になる
印刷とデジタルは対立するものではありません。
むしろ、デジタルが普及するほど紙の価値は明確になり、紙があるからこそデジタルの利便性が際立つ。それぞれが得意分野を分担しはじめています。
◎ デジタルの強み
スピード
情報量
コスト
拡散力
双方向性
◎ 紙の強み
質感・保存性
記憶に残る
“ちゃんとしている”という印象
変わらない安心感
不特定多数へ確実に届く
だから最近では、
紙チラシ+SNS告知
DM+QRコードでの予約誘導
名刺+ホームページ
フリーペーパー+Instagram連動
といった“紙×デジタルのハイブリッド戦略”が主流になっています。まさにここが僕自身現在の販促の主流だと思っています。
■ 年賀状文化の終わりではなく、新しい「つながりの形」へ
年賀状を出さなくなったのは、紙を捨てたからではありません。
むしろ、挨拶文化がデジタルへと拡張しただけです。
そして興味深いことに――
「普段はLINEですませるけど、節目だけは紙で送りたい」という需要が増えてきています。
・結婚・出産報告
・引越しのお知らせ
・ブランド立ち上げの挨拶
・個展・イベントの案内
・名刺交換
・小さな冊子やZINE
こうした“気持ちを伝えたい場面”では、紙が圧倒的に強い。
紙は消えていくのではなく、
「特別な場面だけで使われる価値の高い媒体」へと変化している
と言えます。
名刺交換…僕自身に経験でデジタルデータで交換したことは一度もないです(笑)便利な名刺アプリがありますが、やはり名刺は「紙」でお互い一言会話して交換するのがいいですよね♪

■ 印刷の未来は、“選ばれる紙”をつくること
印刷業に必要なのは「大量に刷る能力」ではなく、
・特別感のあるデザイン
・適切な紙の提案
・小ロット対応
・デジタルとの連携企画
・ストーリーのある紙媒体づくり
こうした“価値をつくる力”です。
紙が減ったからといって印刷が終わるのではなく、
紙を選んでもらう理由をつくる時代に変わりました。ここが私たちの腕の見せどころであります!!
■ まとめ:紙は減っても「なくなることはない」。むしろ価値は高まっている
年賀状が減ったからといって紙文化が終わったわけではありません。
むしろデジタルが普及したことで、紙の価値が逆に際立つようになりました。
気持ちを伝える場面では紙が勝つ→大事です
デジタルとの組み合わせで紙の効果は最大化する→大事です
印刷は“量”ではなく“質”の時代へ移行している→大事です
紙はこれからも確実に必要とされます。
ただし、それは日常的な大量消費ではなく、
“選ばれたときに強く心に残る媒体”としての紙です。
年賀状離れは単なる衰退ではなく、
紙とデジタルの新しい関係が始まったサイン
だと言えるでしょう。
ちょっと紙にこだわり過ぎた記事かもしれませんが、これが現在の私の気持ちです。最後までお付き合いありがとうございました。