ブログ 印刷について

ネット印刷の知識を深めてみよう

こんにちは。紙のデザインが大好き、印刷デザインプロの中道です。

相談者Kさん
インターネットで印刷を依頼したいけど、たくさん会社があってよくわからないわ
舞vent 中道
そうですね。ネット印刷はお手軽ですが、いろいろわからないことも多いです。詳しく説明しますね

ネット印刷とは?

まず「ネット印刷」という言葉について少し説明させていただきます。ネットとはインターネットのことです。

ひと昔前までは印刷は基本「印刷会社」と言われるところでしか印刷ができませんでした。皆さんがお住まいの近くにも「〜印刷」という会社が必ずあると思います。

印刷物を作成したい時には印刷会社に連絡をして、担当者もしくは自らが赴き打ち合わせをかねて印刷物を作りあげる、という過程から完成するわけです。

ところが時代がデジタルに移行する中で、パソコンが一家に一台の時代になり、今となっては自分でデザインができる時代になっております。

しかし何百枚という印刷自体は自分ではできません。そこで選択肢として台頭してきたのた「ネット印刷」です。自分のデータをインターネットから検索して依頼できる時代になったのです。

印刷会社は「打ち合わせ+印刷」という概念から「打ち合わせ+印刷」という概念に変化をして、印刷だけを行う会社にシフトチェンジする会社に業務形態をかえました(一部)

まるでAmazonで買い物をするかのようにポチッと押すと自分が指定した場所に印刷物か完成して届く、という時代、これがネット印刷の概要です。

ネット印刷の長所と短所

ネット印刷においてではアナログな会社は全て廃業してしまったのか?いえ、そんなことはありません。

実はフルカラーで印刷する場合、印刷機械が古いとコストパフォーマンスがとても悪いのです。自社で印刷しても赤字…なんてこともありえます。

そう、同業者がネット印刷を活用するわけです。印刷会社が印刷会社に依頼をする時代になりました。言い換えますと、自分の工場が仕事で詰まっている場合にネット印刷を利用して納期を間に合わす、なんて活用もできます。

お互いに仕事の幅が広がったわけですね。そして私のようにデザインのみで印刷工場を併設していなくても、「印刷物」を納品できる時代でもあります。

ではネットで印刷をお願いすれば全てうまく事が運ぶかといえばそうではありません。簡単に長所と短所を記載してみましょう。

長所

・基本誰でも発注ができる

・安価である

・納期、金額がハッキリしている

短所

・完全データが必要である

・問い合わせの返信が遅い(電話対応ができない場合もある)

・印刷物の仕上がりにバラツキがある

・印刷物の種類によっては高額な設定の商品もある

細かいことはたくさんありますが、簡単に数個カテゴリ的に記載してみました。

まず長所ですが、一番といってもいい金額。これは特に加工がないチラシなどは本当に安価な設定です。1000枚までの印刷なら圧倒的に安いです。安価のカラクリとしては「付け合わせ印刷」が基本なんですが、専門用語ですのでまた別の機会にご説明いたします。

それにあわせて納期も選択できハッキリしています。その場で金額と納期がわかるというのは安心感につながります。ネット以外で印刷を発注する場合は普通は印刷会社に問い合わせ、または営業マンに問い合わせ、そして工場でのスケジュールを確認して折り返し連絡をいただくという流れがあります。これが全くないのは便利ですね。時間に余裕がある時には本当にコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。

相談者Kさん
じゃ全部ネット印刷でいいのでは…
舞vent 中道
便利な分、少し不安点もあります。説明しますね。

次に短所を説明します。ここがクリアできればどんどん活用してもいいと思います。

「完全データが必要である」と上記で記載しました。これが最大の難関です。主に世の中の印刷物の多くはAdobe社の「イラストレーター」と「フォトショップ」というソフトで作成されています。通常馴染みがないソフトですが、昔から比べるとだいぶ皆さんが使えるソフトとして活躍しています。

完全データとは言い換えると不備がないデータということです。これを作成するまでにはかなりの経験と知識が必要です。しかし世の中だいぶネット印刷受注側も不備データが多いのでAIを導入して事前に不備があるかどうかチェックできるシステムが出来上がりました。

これはプリントパックさんの事前データチェック画面ですが、このようにデータに不備があればわかるシステムが数年前から導入されました。それ以前は印刷会社のデータチェック部門の人が1つ1つのデータを手作業で見ていたわけです。不備が発見された場合は納期も遅れ、さらに再度依頼するという過程から時間が多くかかってしまいます。

主にデータの不備とは「画像」「フォント」「サイズ」となります。使っている画像の解像度が低かったり、リンクされてなかったり、またはフォントを特殊なものを使っており、いわゆる文字化けしてしまうなど、またサイズが微妙に違うサイズで作成しているなど、もっとたくさんのチェック項目の中で不備が生じると本当に1日中画面と向き合っていることになります。

次にもし間違ったデータを送ってしまった、またはデータを差し替えたい、など急なトラブルの時に直接連絡がとれない場合があります。またインターネットの環境が良くないと送信中にエラーなど、緊急トラブルの場合の対処がすぐにとれないネット印刷会社が多いです。要するに納期に余裕がない場合は利用しない方が賢明ということです。

あと実際の印刷物の仕上がりにバラツキがあります。印刷とは非常にデリケートなものです。その日の気温、湿度など環境によって色目が変わってきます。全く同じデータでも人物の顔色が違うこともあります。安価な分、色合わせはオートになっており色に厳しい印刷デザインについては少々不安があります。

最後に何でも価格が安い、と思うのは勘違いです。例えば封筒、伝票などの一気に印刷ができない1枚単位の印刷工程の印刷物はどの印刷会社でも手間が同じです。チラシやパンフレットは確かに安価設定ですが、印刷物の種類によっては高価な設定になっている場合もありますので、安いという先入観は避けましょう。

ネット印刷利用のまとめ

私なりに簡易にまとめますと、

・ネット印刷は基本プロ仕様

・納期に余裕があるなら使ってみよう

・まずはA4チラシから始めてみよう

です。

まず家庭用プリンターで出力できたらネット印刷ができる、という概念を捨てましょう。家庭用プリンターは画面をそのまま印刷するという仕様ですので、印刷とは少し違います。一番データの不具合がなく、データ作成について経験が浅い人はPDFがオススメです。ワードでもエクセルでもパワーポイントでもネット印刷はできますが、PDFの場合はデータ不備があまり起こりません。

ただ基本はネット印刷はプロ仕様であり、イラストレーターやフォトショップという専用ソフトが使える人用、くらいに思っておくのが無難です。

そして納期に余裕がある場合は自分で練習しても良いと思います。2週間後くらいに欲しい、などの場合は何回もデータをチェックして修正するという時間がありますから、どんな不備があったのか自分で練習できます。一度上手にデータを送る事ができると次から安心して利用できます。

あと最後にA4印刷、世の中で一番多い印刷物ですが、A4サイズの印刷は仕上がりに差がありません。基本どのネット印刷でもすごく綺麗な仕上がりです。A4チラシなら仕上がりに関しても十分満足できると思います。

少しネット印刷についてわかっていただけたでしょうか?

次回のブログには僕のおすすめのネット印刷会社を紹介してみます。

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中道一帆

中道一帆

舞vent 代表 校正のレスポンスの素早い対応を生かした、印刷デザイン全般を編集。納期を必ず守ることで信用を高め、また印刷業界20年以上の経験から忖度ない印刷の現実を解説しています。

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